落日

決行予定地の下見を兼ねて街をふらついた。老人、馬鹿そうな学生の群れ、主婦、若い男女の番い。様々な人間が生きるための行動をとっていた
それらを見ても気持ち悪いとしか感じないのは、普通の人生を送っている人を妬んでいるのだろうか

夕陽が沈む頃予定地に着いた。目測したところ、高さ、地上の状態から、頭から落ちれば即死は可能といった感じだった。足から落ちた場合、死ねる確証は無い
落ち方については、普通に飛び降りるよりは壁に腰掛けた状態から後ろ向きに落ちるのが頭から着地しやすそうだ
音楽でも聴きながら、目を瞑って体を重力に任せるようにすれば恐怖を抑えながら実行出来るだろう
それでも生き残ってしまったら?その時はその時だ。その状況になってむしろ生きる気力が湧いてきたら物書きの仕事でも目指してみようか
そんな都合の良い話は無いだろうけれど

諧謔の効いた遺書を用意して、遺書.txt.exe的なソフトで、遺書を開くと同時にHDD内のあまり人に見せたくないファイルが削除されるように設定した
死んだ後の現世に配慮する必要なんて皆無だし放置しておいても良かったんだけど、立つ鳥跡を濁さずとも言うし。一応の対処はしておく