鉄の芋虫

長いことクズ生活を続けていたおかげでメンタルが豆腐どころじゃない柔らかさになっている。バイトの面接を受ける電話のシミュレート等をするだけで心臓に負担がかかるくらい弱い
高校の頃は多少緊張しつつもこの手の事はあっさり終わらせられたんだけれど。立場を得ているか否かでここまで人間の精神が弱くなるものとは思わなかった
実際、初対面というか会ってすらいない人間と会話する時に緊張しない人はほぼ居ないのだろうけど

昨日は星もあまり見えない寒い夜だった。帰り道、踏切に足止めされて視界が赤色に染まった。直後、風と電車が吹き抜けていった
このひなびた土地を走る電車の中にも、互いに背を向けあい目を伏せて、家へと帰るであろう人が大勢居た。あの人たちの数だけ世界の視点があり、人生がある
私は私の視点からでしか世界を見られない。なので私がこの電車に飛び込んで死んでいたら私の目から見た世界は終わりを迎えるのだけど、この電車に乗っている人たちの世界は続いていく。普通の人間が死んでも世界が見えなくなるだけで滅びるわけではない、世界が滅びるというのは誰の視点での事なのだろう
そんな事を考えているうちに踏切は上がっていた